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経済・経営・株式・投資 時事評論

元投資銀行マンの時事評論 (旧社長お時間です)

Archive for 7 月, 2008

前回、前々回と書いた、シティ、メリルの件がまさに今日の日経でも記事になっていますね。見出しは「メリル、9000億円の増資」、「負の遺産」処理急ぐ、「シティの対応 焦点」です。

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やはり依然として米国の大手金融機関は、その所有する低い信用力の資産に対するリスクが不安で、さらなる今後の損害対策のためにメリルのように資本を強化(増資)をするところが出ました。まさに前回、前々回と書いた予想内容で現実に資本強化するところが出たわけです。

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注目は米国金融機関のトップクラスのひとつであるシティがどう動くかです。もはや、さらなる資本強化や不良資産対策をせねばならないのは明確ですが、それに速やかにできるかどうかです。

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偶然なのでしょうけど、日経新聞の上記のとなりの記事に「米住宅価格 最大の下げ」、「金融機関、損失増も」「個人消費にも影」とあります。そんな状況を考慮すると米国金融機関の増資のお願いに、投資家は容易に応じるわけに行かないでしょう。資本強化の苦労が続くのでしょうね。

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ちょっと話はそれます。

その日経の記事ですが、「個人消費にも影」とあります。トヨタ自動車は今週の週初に2008年の世界販売予測を下方修正(約3.5%減)しています。(さすがトヨタ、動きと言うか対策が早いです。)内訳では米国での不振予想が最大で、サブプライムと原油高等でダブルパンチの影響を受けたと言う事でしょうか。

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日本に対する影響ですが、米国金融機関の影響ばかりでなく、車の製造販売(輸出)と言った実体経済まで不振となるとかなりシリアスになります。実体経済の不振が企業の財務諸表といった正式な数字に表れるのに少々時間がかかります。徐々に悪化したとして、今年の年末や来年の年初の企業業績は要注意でしょね。

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どうも最近の銀行は上記を予想して融資を絞る等の動きをしているような気がします。(業績不振による融資の焦げ付き対策でしょうか。)何年か前にあった、「不景気<=>貸し渋り<=>経営悪化」の悪循環にならねばいいのですが、、、

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シティの場合、昨年末に自己資本強化の対策をやらねばならず、中東から資金を注入してもらいました。ただ、依然として低格付け資産の損失が止まっていないので、何らかの対策をさらにやらねばならない状態と推測されます。

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経験則的に言うと、金融危機的な事象が起こった場合に低格付け資産が受ける損失率は数%でなく、数十%という率になるのが一般的です。そう考えるとシティが5月に41兆円を売らねばならないのは、おそらく最終的な予想損失がかなりの額で、資本をこれ以上毀損するリスクを避けるための対策でしょう。

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仮にですが、シティの損害がさらに膨らんで自己資本が国際決済業務の撤退、最悪債務超過となった場合、シティくらい大きい金融機関だと米国内での経済上というか信用上の与える悪影響は計り知れず、さらに米国外にもそれは波及すると思われます。

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その場合、米国政府は何らかの対策(大手金融機関を救う)を出さざるを得ないでしょう。いわゆる、ある特定の組織を国が守る時の言いわけであるToo big to fail=「(規模と影響が)大き過ぎてつぶせない」ってやつですね。皆さんがご存知のように、日本の場合はバブルの崩壊で資本が傷ついた銀行は当局の主導で公的資金注入、整理、統合合併させました。米国当局も当然、最悪のケースを想定してプランを立てているでしょう。

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話は変わりますが、そもそもサブプライムで米国の金融機関はどうしてあんな膨大な損害を出したのでしょうか?通常、米国の大手金融機関であれば、所有資産に関してのリスク分析(数理的、統計手法を取り入れている分析)をしているはずです。または、一部は外部の格付け機関等にも分析させて、資産の安全性をチェックするはずです。ところが今回、この分析が役に立たずに予想以上の損害を被ってしまったわけです。

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いくら何でも、こんなに短い期間で急に資産が悪化し格付けが低下するなんて、どんな分析をしたんだと思うのが普通ですよね。

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リスク分析において、分析の前提となるのはある資産の市場で個別の資産がおかしくなるのは確率的にある部分だけで、今回のようにサブプライムのように市場全体がほぼ全滅するとは考えていません。(それ前提だとそもそも投資できなくなってしまいます。)

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もちろん、市場が全滅して資産が極端に劣化するケースも想定していますが、今回の確率的な見通しは甘かったと言いざるを得ません。資産の運用者、所有者は自らリスク分析をしますが(特に大手は)、格付け機関等の外部の分析を根拠に運用しています。

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プロは盲目的に格付け機関を信用はしていないと思いますが、それを運用の言いわけにするのはやめるべきです。(そもそも格付け機関が、資産の運用者や金融機関のリスクの分析者より優れた手法を持っているとか分析能力に関して優秀であると言うこと自身が間違っていますよね。信用格付けが常に正しいというのは幻想ですよ。)

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格付けや統計的リスク分析手法を否定するわけではありませんが、その格付けやリスク分析の前提が今回の様に全く通用しなかった場合も経験則的に考慮して運営するのがプロではないでしょうか?少々厳しいコメントですが。

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