

経済・経営・株式・投資 時事評論
元投資銀行マンの時事評論 (旧社長お時間です)
Archive for 7 月 25th, 2008
金融機関の憂鬱とクレジットの幻想 続シティとメリル
Author: 社長
シティの場合、昨年末に自己資本強化の対策をやらねばならず、中東から資金を注入してもらいました。ただ、依然として低格付け資産の損失が止まっていないので、何らかの対策をさらにやらねばならない状態と推測されます。
. .
経験則的に言うと、金融危機的な事象が起こった場合に低格付け資産が受ける損失率は数%でなく、数十%という率になるのが一般的です。そう考えるとシティが5月に41兆円を売らねばならないのは、おそらく最終的な予想損失がかなりの額で、資本をこれ以上毀損するリスクを避けるための対策でしょう。
. .
仮にですが、シティの損害がさらに膨らんで自己資本が国際決済業務の撤退、最悪債務超過となった場合、シティくらい大きい金融機関だと米国内での経済上というか信用上の与える悪影響は計り知れず、さらに米国外にもそれは波及すると思われます。
. .
その場合、米国政府は何らかの対策(大手金融機関を救う)を出さざるを得ないでしょう。いわゆる、ある特定の組織を国が守る時の言いわけである「Too big to fail」=「(規模と影響が)大き過ぎてつぶせない」ってやつですね。皆さんがご存知のように、日本の場合はバブルの崩壊で資本が傷ついた銀行は当局の主導で公的資金注入、整理、統合合併させました。米国当局も当然、最悪のケースを想定してプランを立てているでしょう。
. .
話は変わりますが、そもそもサブプライムで米国の金融機関はどうしてあんな膨大な損害を出したのでしょうか?通常、米国の大手金融機関であれば、所有資産に関してのリスク分析(数理的、統計手法を取り入れている分析)をしているはずです。または、一部は外部の格付け機関等にも分析させて、資産の安全性をチェックするはずです。ところが今回、この分析が役に立たずに予想以上の損害を被ってしまったわけです。
. .
いくら何でも、こんなに短い期間で急に資産が悪化し格付けが低下するなんて、どんな分析をしたんだと思うのが普通ですよね。
. .
リスク分析において、分析の前提となるのはある資産の市場で個別の資産がおかしくなるのは確率的にある部分だけで、今回のようにサブプライムのように市場全体がほぼ全滅するとは考えていません。(それ前提だとそもそも投資できなくなってしまいます。)
. .
もちろん、市場が全滅して資産が極端に劣化するケースも想定していますが、今回の確率的な見通しは甘かったと言いざるを得ません。資産の運用者、所有者は自らリスク分析をしますが(特に大手は)、格付け機関等の外部の分析を根拠に運用しています。
. .
プロは盲目的に格付け機関を信用はしていないと思いますが、それを運用の言いわけにするのはやめるべきです。(そもそも格付け機関が、資産の運用者や金融機関のリスクの分析者より優れた手法を持っているとか分析能力に関して優秀であると言うこと自身が間違っていますよね。信用格付けが常に正しいというのは幻想ですよ。)
. .
格付けや統計的リスク分析手法を否定するわけではありませんが、その格付けやリスク分析の前提が今回の様に全く通用しなかった場合も経験則的に考慮して運営するのがプロではないでしょうか?少々厳しいコメントですが。
. .
人気ブログランキングで『社長、お時間です』は何位?!
関連する投稿
read comments (0)