

経済・経営・株式・投資 時事評論
元投資銀行マンの時事評論 (旧社長お時間です)
Archive for 11 月, 2008
金融工学の悪者論。 続きです。
Author: 高見澤 敦
2008年11月19日
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金融工学でデリバティブ商品を組成する者にとって、今回の破綻は起きるべくして起きてしまった事だと予測できていたはずです。と言うのは、デリバティブ、証券化商品を組成する際には、金利、変動性、経済環境、商品の流動性等に対して様々な前提、仮定を想定してプライシング、リスク分析をしますが、この前提、仮定はある一定の条件下で限定された内容であることが大半です。
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分かりやすく言うと、今回の大規模な破綻は起きる可能性を考慮してはいるが、その確立は非常に小さいもので、経営を揺るがすほどではないと前提をおいて商品を組成、所有しているということです。
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そうは言っても、大規模な破綻や市場の暴落は実際に何年かに一度は起きます。(1978年のイラン革命から始まった石油危機、1987年のブラックマンデー、1998年のロシア危機・LTCM破綻、、、、今年2008年を危機とするとほぼ10年に一回は何か大規模な危機が起きていますね。不思議と。)
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大規模な破綻は確立的に小さいとしても起きる可能性はあります。その起きた場合に会社全体がどのくらい被害を本来であれば確立的に計算すべきですが、その前提、仮定が甘過ぎたという事です。その前提、仮定の決定や会社全体のリスクをコントロールするのは最前線にいる金融工学のスペシャリストでなく、マネージメント陣です。
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つまり、現場の金融工学のスペシャリストはリスクを知っていたわけですから全く無実とは言えませんが、最大の戦犯はリスクを無視して突っ走った経営陣にあります。
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これは例えると、核(原子力)技術と兵器の問題に似ています。平和利用でかつ我々の生活に不可欠である原子力発電、核(原子力)技術は重要です。原子力、核技術を開発するのは学者、エンジニアなのですが、彼らはその便利さと危険さの双方を当然理解しています。問題は、その危険性を軽くみている企業のヘッドがいる場合です。さらに行き過ぎたのが兵器への転用です。兵器に転用、使用は政治家、軍人の判断です。
ちょっと無理なたとえだったかもしれませんが、デリバティブも同様で、行き過ぎた結果(デリバティブ系商品の破綻)は、金融工学者(クウォンツ)よりも、リスクに目をつぶり収益拡大で過大な残高を作らせたマネジメントや放置していた当局が最大の戦犯のはずです。
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今更デリバティブを全面的に禁止はできないと思いますが、規制は確実に厳しくなるでしょう。(せざるを得ないでしょう)
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余談ですが、メリルリンチが電力デリバティブから撤退と18日の日経の記事にありました。何でもデリバティブに持ち込むのには限界があるということですかね。。。
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↓ なんでもデリバティブ化できちゃうんですよね、、、、本当に必要かどうかはわかりませんが。。。
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2008年11月18日
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本論に入る前にちょっと一言。金融サミットが先週末に終わりましたが、ブッシュはついに金融の規制についてのコメントをしましたね。強気のアメリカと言えども、さすがに四面楚歌で規制論に反対できなかったのでしょう。(まあ、ブッシュは消え去る大統領ですが)以前にも問題ありと書いた高レバレッジ・ビジネスは今後規制されていくのでしょうね。
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さて、今日の本論です。今回のサブプライムや証券化商品の損失に関して、金融工学悪者論が吹き荒れていますが、それについて少々コメントしたいと思います。
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実は私も理工系で、大学卒業後にソロモンブラザーズに入社しデリバティブのトレーダーとして社会人デビューしました。(今から20年以上も前の話ですが。)当時の日本においては、デリバティブに関する記述、書物は非常に少なかったのですが、面接時に聞いた金融商品やデリバティブに関する話は非常に面白く、面接の後に社内の資料をもらって帰り一生懸命読んだ記憶があります。ソロモンブラザーズのその資料は表紙が茶色だったのでブラウンブックと呼んでいましたが、金融テキストとして他社やクライアントの間で重宝されていました。
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日本にデリバティブの基本となる、先物、オプション、スワップ等が持ち込まれたのが80年代後半ですが、20年近く経た現在、デリバティブは特殊な金融商品ではなく、一般的な商品として取引されています。(ちなみにデリバティブで重要なスワップ取引の第1号(IBMと世界銀行間での取引)は1981年にソロモンブラザーズに当時在籍していたデビッド・スウェンセン(現イエール大、CFO)がアレンジ(開発)したものです。)
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ただ、デリバティブ化した商品は証券化と不動産、希少金属、穀物、原油、電力等と組み合わさって様々な金融商品を生み出し、当局でさえ容易に把握するのが困難なほど、複雑化、巨大化してしまいました。
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今回問題となった、サブプライムの証券化やCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は、デリバティブとしてはそれほど難しい商品ではないのですが、元々の残高が膨大だったのと同時連鎖的に信用不安を起こしたので、金融機関の存在そのものを危うくしました。
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マスコミやコメンテーター等で非難されることが多いポイントは、これらの商品を作ったクウォンツ、金融工学のスペシャリスト達に対しての非難です。金融工学、デリバティブは悪者、詐欺であるという非難が多いということです。
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ここで、デリバティブ、金融工学のスペシャリストの弁護をするわけではありませんが、この議論は少々公平性を欠いているような感じがします。
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以下、次回に続く。
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↓ この本は名著です。(おそらくデリバティブのトレーダーなら一度は目を通す書籍ではないでしょうか。著者の三上さんは日本においてトップ・クウォンツ、デリバティブの開発者です。)
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